最低賃金の引き上げ、助成金を活用できるかもしれません(第1回)

京都府の最低賃金が、2026年11月16日から1,180円に引き上げられます。現在の1,122円から58円のアップです。

毎年のこととはいえ、パートさんやアルバイトさんを多く雇っている事業所にとっては、決して小さな話ではありません。今回は、この引き上げで人件費がどのくらい増えるのか、そしてその負担を和らげるために使えるかもしれない助成金について、ご紹介します。

58円の引き上げで、人件費はどれくらい増える?

「58円」と聞くと小さく感じるかもしれません。ですが、例えば1日6時間・月16日働くパートさんの場合、

  • 58円 × 6時間 × 16日 = 1か月あたり 5,568円
  • 1年間では、1人あたり 約6万6千円

の増加になります。同じ働き方のパートさんが10人いれば、年間で66万円以上です。

しかも、最低賃金の改定をきっかけに、周りの会社も時給を上げます。弊所は長岡京市にありますが、長岡京市は大阪府の高槻市とも隣り合っていて電車で10分程度。両市の時給を比べて職場を選ぶ方も少なくありません。
そのため、新しい最低賃金ちょうどの時給のままでは、人が集まりにくくなることも考えられます。

賃上げは、もはや「するかどうか」ではなく「どう進めるか」を考える段階に来ています。

同じ賃上げをするなら、助成金を受け取れる形で

そこでご紹介したいのが、国の「キャリアアップ助成金」です。パートさんや契約社員など、いわゆる非正規雇用の方の待遇改善に取り組む事業主を支援する制度で、いくつかのコースがあります。

その中の「賃金規定等改定コース」は、就業規則のうちの賃金規定においてパートさんなどの基本給を3%以上増額改定し、実際にその金額で支払った場合に、1人あたり定額の助成金が支給されるものです。

たとえば、時給1,122円のパートさんを1,180円に引き上げると、引き上げ率は約5.2%。中小企業の場合、1人あたり6万5千円の区分にあたります(支給額の詳しい区分は第3回でご紹介します)。

最低賃金に合わせて時給を上げるだけでも、引き上げ率は5%を超えるのです。

早めに確認しておきたいこと

ただし、この助成金は「賃上げをしたら自動的にもらえる」ものではありません。特に次の点は、早めに確認しておくことをおすすめします。

1、対象になるのは、パートさん・契約社員など非正規雇用の方です。正社員の方の賃上げは対象になりません。

2、賃上げの前に、労働局へ書類(キャリアアップ計画書)を出しておく必要があります。 賃金を上げたあとに出しても間に合いません。

3、時給をいつから上げるかによって、同じ1,180円への引き上げでも、助成金の対象になるかどうかが変わることがあります。

3番目は、このテーマで私がいちばんお伝えしたいことです。次回、詳しくご説明します。

「うちのパートさんも対象になるだろうか」と思われた方は、まずは時給と人数を書き出してみてください。それだけでも、受け取れるかもしれない額のおおよその見当がつきます。


次回:最低賃金に合わせて賃上げするだけでは、助成金を受け取れない?

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